ご挨拶
リハビリテーションとは、障害をもった方の身体機能の回復を目指すだけではなく、可能な限り元の社会生活をとりもどし、一人の人間として地域の中で自立した生活を送れるようサポートすることまで含まれます。
当リハビリテーションセンターは、総合病院である特性を生かし、「急性期リハビリテーション」・「予防的リハビリテーション」・「高齢者リハビリテーション」・「終末期リハビリテーション」を通して、急性期から生活期までの多様なニーズに対応できるよう取り組んでいます。
医師、看護師をはじめ、医療ソーシャルワーカー、地域のケアマネジャーなどの各専門職と連携を取りながら、地域住民に信頼され、選ばれるリハビリテーションセンターを目指しています。
リハビリテーション科 科長
施設概要
B館1階 B37 リハビリテーションセンター
理学療法室
作業療法室
言語聴覚療法室
スタッフ数(2023年4月現在)
リハビリテーション医 2名 うち非常勤医師1名
理学療法士 29名
作業療法士 23名
言語聴覚士 9名
助手 1名
事務 2名
施設認可(2023年4月現在)
- 脳血管疾患Ⅰ
- 心大血管疾患Ⅰ
- 運動器疾患Ⅰ
- 呼吸器疾患Ⅰ
- 廃用症候群Ⅰ
- がんリハビリテーション
- 摂食機能療法
医師の指示に基づいて急性期病棟から地域包括ケア病棟、療養障害病棟を含めて幅広く各種病期に合わせてリハビリテーションを提供しています。
各部門紹介
理学療法
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
当院では急性期治療の一環として医師の指示のもと早期より入院でのリハビリテーションを行っております。理学療法部門では運動療法、物理療法、徒手療法、その他各種病期別の病態に合わせた理学療法を提供するとともに、糖尿病の運動指導や心臓リハビリテーション、ご家族さまへの介助指導や退院前の家屋調査・指導等も実施しており、地域に根差した医療を提供できる体制を整えています。また外来でのリハビリテーションでは、退院後の身体機能の改善に向けた継続的な介入を行うほか、生活の中で痛みを生じた方、慢性的な痛みを抱える方、スポーツ活動にてケガをされた方なども対象に理学療法を提供しています。
作業療法
作業療法の「作業」とは、食事や着替え、排泄などの身の回りの活動、炊事や洗濯・掃除などの家事、学業や仕事、遊びや趣味活動など、一つ一つの活動のことを示しています。
「生きていく為に必要な作業」「日々を楽しむための作業」「休息となる作業」これらがバランスよく構成されていると健康的に日々を過ごすことができます。ところが、病気や怪我をしてしまうと、生活する環境が変わるだけでなく、その人を構成する作業活動のバランスも崩れ、不健康な生活となります。次第に外部との交流も閉ざされていきます。そのような方々に対して、再び作業活動や外部と交流する機会を持つことで、病気やけがによって生まれた悪い習慣を改善し、ご本人が望む生活を送れるように環境を整えていくリハビリテーションが作業療法です。
対象となる患者さまは脳卒中、骨折、肺炎、外科の手術後、がん、心臓病など様々です。作業療法の内容は、着替えやトイレなど身の回り動作の練習、料理やパソコンの練習、編み物など多岐にわたります。気分転換目的に、時には演歌を聴いたり、散歩や囲碁をしたりと、趣味活動を用いることがあります。自動車運転の再開を目指す人には必要な機能の評価や指導を行います。
退院して在宅生活に戻る際に、ご自宅に訪問して環境を評価し、必要な福祉用具の提案や、退院後にご自宅での運動指導や洗濯・掃除の練習、庭木の手入れの練習をすることもあります。人によって「やりたい作業」「やるべき作業」は違うので、ご本人やご家族のニーズに合わせた様々なリハビリテーションの内容となります。作業活動を通して、こころもからだも元気になるお手伝いができればと思います。
言語聴覚療法
言語聴覚療法部門では、コミュニケーションに問題のある方や高次脳機能障害のある方、摂食・嚥下障害のある方に対してリハビリテーションを行います。医師の指示の下、機能回復練習・個別練習を実施します。機能回復練習と併せて、残存する能力でコミュニケーションや食事が可能となるよう、代償手段の検討や食事内容・介助方法の指導など、患者様の退院後の生活を視野に入れた支援を行っています。また、退院後も、必要性に応じて患者さまやご家族さまの不安を軽減することができるよう外来や訪問でのリハビリテーションも行っています。
[高次脳機能訓練]
聞く・話す・読む・書くといった言葉に関する障害である失語症、注意力や記憶・認知機能障害などの高次脳機能障害に対してリハビリテーションを行います。コミュニケーションがより円滑に取れるような支援や生活上で注意する点を助言するなど、退院後の生活に合わせた支援を行います。
[発声・構音訓練]
声帯の障害により声質が変化してしまう音声障害や、顔面や舌の障害によりうまく話すことができなくなる構音障害に対し、リハビリテーションを行い、話しづらさの改善を目指します。また、状況に応じて患者さま・ご家族さまに、コミュニケーションがとりやすくなる方法を提案・助言する等の支援を行います。
[摂食・嚥下機能訓練]
食べ物がうまく食べられなくなる嚥下障害に対してリハビリテーションを行い、食事内容や摂取方法を工夫することで患者さまに適した食事環境を整えます。また、状況に応じて、嚥下造影検査(VF)・嚥下内視鏡検査(VE)を実施し、より安全に経口摂取を継続していくことができるよう練習方法や食事内容を検討します。
[小児訓練]
ことばが出にくい・落ち着きがない・発音を間違えてしまうなど、コミュニケーションや生活に支援の必要なお子さまに対し、小児科医師と連携し発達に対するリハビリテーションを行います。評価結果や院内でのリハビリテーションの様子を教育機関の先生方とも共有し、発達がより一層促されるよう支援していきます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションとは通院が困難になった方々の自宅にお伺いし、リハビリテーションを行うサービスのことです。当院では介護保険利用の方を対象に、訪問リハビリテーションを行っています。
当院の訪問リハ部門には理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が所属しており、日常生活はもとより、家事や簡単な趣味活動、嚥下やコミュニケーションなど幅広いニーズに対応しています。
具体例としては退院後の生活に対し不安を抱えた方に対し、少しでも安心して生活できるよう、リハビリテーションを提供するケースが多いですが、他にも自宅で徐々に生活が困難になってきた方に対しての運動指導や家屋環境へのアドバイス、がんを含むターミナルケアでの支援なども行っています。
チーム医療
- 呼吸管理サポートチーム(Respiratory Support Team : RST)
- 栄養サポートチーム(Nutrition Support Team : NST)
- 褥瘡対策チーム
- 外科回診
- 整形外科回診
- HCUリハチーム
様々な分野で多職種と連携して業務に携わっています。
認定資格
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 心臓リハビリテーション指導士
- がんのリハビリテーション研修修了
- 日本糖尿病療養指導士
- 認定作業療法士
- 認定言語聴覚士 失語・高次脳機能障害領域
- 認定訪問療法士
- リンパ浮腫複合的治療料実技研修修了
- 新リンパ浮腫研修修了
- 臨床実習指導者講習会修了
- ディサースリア認定セラピスト
- 認知症ケア専門士
- 認知症ライフパートナー2級
- 介護予防推進リーダー・地域包括ケア推進リーダー
- 地域ケア会議認定ファシリテーター
- 福祉住環境コーディネーター2級
リハビリテーション分野以外の資格も含め、多岐に渡り専門性のあるスタッフが在籍しています。
地域貢献
主に以下の4つの活動を通して予防医療の一翼を担っております。
- 近隣市町村からの依頼により、茨城県介護予防リハビリ専門職指導者養成研修を修了した介護予防推進リーダー、地域包括ケア推進リーダーが住民の集いの場である自治会館、サークル団体などに伺い介護予防に対しての助言を行っております。これは地域住民の方に助言を行い、慣れ親しんだ地域で安全に生活できるようサポートする活動です。
- 地域ケア会議に参加し、自宅の生活で何かしらの不自由さを持たれている方の問題に対して、担当ケアマネジャーを始め各介護事業者、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、地域住民、行政などが集い問題解決を目指すために意見を出し合い、その方がどのように生活をすれば安全に、長く自宅や地域で過ごせるかを検討しています。
- 近隣の特別養護老人ホームに定期的に訪問し、施設職員と共に安全で安楽に生活を送るために身体機能維持・向上のためにできる方法を検討しています。
- 牛久市からの委託で、介護保険制度下での総合事業の一環として「体力アップ教室」を年2回(1教室は約3~4ヶ月程度)実施しています。
教室の主な内容としては、リハビリテーションスタッフによる体操や自宅での運動指導の他に、管理栄養士や歯科衛生士による講座も行っています。教室の前後で体力測定やアンケートを行い、筋力やバランスなどの身体面や日常生活上での変化から効果判定を行っています。
参加者の方が教室で得た知識や経験を、今後の生活に生かし、住み慣れた地域でいつまでも元気に過ごせるよう、微力ながらお手伝い出来ればと思います。
骨盤底筋体操教室
骨盤底筋体操教室(自費診療)について
当リハビリセンターでは、自費診療にて骨盤底筋体操教室を開催しております。
教室では、尿失禁や臓器脱など骨盤底疾患の症状のある方を対象に、女性理学療法士がその方にあった体操や生活指導などを行い、症状改善や悪化防止に努めています。
尿漏れなどの症状で困っている、運動の仕方がわからないとお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。体操教室の詳細は下記をご覧ください。
※教室の参加には医師の診察が必要となります。
骨盤底筋体操教室のご案内はこちら
骨盤底筋体操教室~体験版~について
当リハビリセンターでは2021年度から骨盤底筋体操教室を開催しています。
この教室を多くの方に知っていただくために体験版として無料の体操教室を開催することとなりました。
尿漏れなどの症状はないけれど体操をやってみたい方、お一人では体操を続けられない方、将来のために予防したい方など興味を持たれた方はどなたでも参加できます。
簡単な紹介ではありますがお気軽にご参加ください(予約不要)。
※不定期開催となっております。詳細はこちらをご覧ください。
学生の方へ
新人教育体制
当院では、急性期医療・予防医療・高齢者医療の3つの柱を基本理念としており、当リハビリテーションセンターでも急性期から慢性期、在宅での生活期のリハビリテーションを経験し、患者の障害像全般に対して、幅広く対応できるジェネラリストの育成を目指しています。
そのためには、中長期的な卒後教育が必要と考え、当リハビリテーションセンターではPT・OT・ST部門共通のキャリアイメージを掲げ、卒後5年教育体制をとっています。
入職1年目は新卒教育担当スタッフの丁寧な指導のもと、実際に臨床業務を行いながら育成していく方法(On the Job Training)で診療の基礎を学べる環境を作り、入職2年目は基礎に加えて応用力を磨ける体制をとっています。
更に3~5年目では、専門分野に特化したグループに一定期間加入するジョブローテーションを導入することで、専門的な実践力も身に着けられるような環境を整え、各年代で段階的に設定された到達目標を目指しながら、日々研鑽をしています。