診療科からのお知らせ
当科は、視力低下・歪み・かすみ・視野異常・目の腫れ・痛み・痒み・疲れなど、眼科領域に関する様々な愁訴・疾患全てに対応し、適切な治療ができるよう、日々の診療技術の質を高め、当病院の他科や近隣の大学病院との円滑な連携を図り、地域医療としての中核病院を目指しています。
また、専門医制度研修施設として、臨床研修内容の充実化にも努めています。
診療担当表
診察は予約優先となっておりますので、予約することをお勧めいたします。
当院の予約センターにてご予約下さい。
病状に応じて診察の順番が前後することもございますのでご了承ください。
水曜日午前と金曜日午前は手術日です。水曜日は非常勤医師の外来がありますが、金曜日は特殊検査・処置のみになりますのでご了承ください。
午後の外来は、原則、造影検査、レーザー治療や処置等の特殊外来となります。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
午前 | 井上 | 井上 山下 |
矢部/手術 | 井上 山下 |
手術 | – |
午後 | 特殊検査・処置 | 特殊検査・処置 | 特殊検査・処置 | 特殊検査・処置 | 特殊検査・処置 | – |
手術
当院では、白内障、網膜硝子体、眼瞼、涙道および一部の緑内障手術が可能です。手術は日帰り、入院とも、患者様のご希望にできるだけ沿うようにします。
2022年4月より、カールツァイス社最新手術顕微鏡OPMI Lumera 700を導入しました。優れた徹照と立体感の両立を実現。今まで以上に的確で安全性の高い操作が可能になりました。また、低照度で眼への負担軽減効果も期待されます。
白内障手術は、新たに光学式眼軸長測定装置 OA-2000を導入し、合わせて眼内レンズ度数決定式として、Barrett Universal Ⅱ式を採用しました。これにより、白内障手術後の屈折誤差の減少が期待されます。
当院では単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの両方を使用しています
単焦点眼内レンズは、現在世の中で最もよく使用されているレンズです。単焦点レンズの特徴としましては、目に入った光を遠方や近方などの1点に集中させるため、明視域(はっきり見える範囲)が限られますが、その分コントラスト感度(画質)は良好になります。ピントがぼやけた範囲を見るには、術後眼鏡の使用が必要です。緑内障や網膜疾患など白内障以外の合併症がある方でも使用可能となっています。健康保険適応のため、患者様の自己負担額も抑えることができます。(1割~3割自己負担)
多焦点眼内レンズは、目に入った光を遠方~近方に振り分け使用するため、単焦点眼内レンズよりも明視域が広く、その分、術後の眼鏡使用率を減らすことが可能です。しかし、単焦点眼内レンズと比べ、コントラスト感度(画質)がやや低下し、グレア、ハローという光が眩しくなったり、光の周囲がぼんやりと見えたりする症状が起こりえます。当院では、健康保険適応であるレンティスコンフォート(トーリック)、および選定療養としてパンオプティクス(トーリック)、シナジー(トーリック)、ビビティーを採用しております。レンズの詳細な特徴や費用につきましては、担当医にお聞きください。
網膜硝子体手術につきましては、新たに「広角眼底観察システムRisight 700」を導入しました。Risightは、網膜硝子体疾患の手術を効率的に行える最新の眼科手術装置です。広角眼底観察システムとコンステレーションを用い、25G小切開硝子体手術を施行しております。硝子体手術は、裂孔原性網膜剥離、糖尿病網膜症、硝子体出血、黄斑円孔・黄斑前膜などの黄斑疾患に対応しています。麻酔は、経テノン嚢下球後麻酔(局所麻酔)を用いており、より低侵襲の手術を心がけております。
涙道手術につきましては、涙道閉塞症に対する内視鏡手術および涙嚢鼻腔吻合術を行っております。涙道内視鏡は、町田製作所のものを導入しました。外径0.9mmの極細内視鏡を使用し、涙道疾患の治療を行います。全国的に涙道治療を行える医師は少なく、慢性的な流涙・眼脂でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院までご相談ください。
涙道内視鏡治療の詳細につきましては、別ページをご参照ください。
診療実績
2022/4/1~2024/3/31
2023年度
白内障手術件数は458件でした。昨年度より総件数はやや減少しましたが、高次非球面単焦点レンズ(Eyhance)、低加入度分節型多焦点レンズ(レンティスコンフォート)の使用割合は増加しました。
2023年度より選定療養多焦点レンズの使用を開始しております。(件数は2名4眼、すべてSynergy)
トーリックレンズ(乱視矯正レンズ)の使用割合は、2022年度21%でしたが、2023年度36%と増加しました。引き続き裸眼視力向上のため積極的に使用してまいります。
日帰り手術、入院手術の選択につきましては、患者様のご希望をまず優先し、また全身状態や生活状況なども考慮し安全第一で決めさせて頂いております。
白内障以外でも、入院での眼科手術を行っておりますので、ご希望の方は遠慮なく申し出てください。
診療内容・特色
眼科疾患全般に対応できるよう下記の検査や治療が受けられます。
検査 | ||
屈折及び角膜曲率半径測定 | 矯正視力検査 | 精密眼圧測定 |
細隙燈顕微鏡検査 | 精密眼底検査 | 前房隅角検査 |
精密視野検査 | 量的視野検査(静的および動的) | 色覚検査(パネルD15など) |
網膜電位図 | 両眼視機能検査 | 眼筋機能精密検査 |
立体視検査 | 網膜対応検査 | 涙管通水検査 |
角膜内皮細胞顕微鏡検査 | 調節検査 | 涙液分泌機能検査 |
中心フリッカー試験 | 超音波検査(AおよびBモード法) | 眼球突出測定 |
眼底カメラ撮影 | 蛍光眼底造影(FAG) | 汎網膜硝子体検査 |
外来手術 | ||
マイボーム腺梗塞摘出術 | 結膜結石除去術 | 霰粒腫摘出術 |
麦粒腫切開術 | 結膜および角膜異物除去 | 涙点プラグ挿入術 |
眼瞼内反症手術 | 翼状片手術 | 結膜弛緩症手術 |
眼瞼下垂症手術 | 網膜光凝固術 | 抗VEGF硝子体注射 |
テノン嚢下注射(ステロイド剤) |
手術 | |
白内障手術 | 日帰り 片眼入院手術の場合:2泊3日 両眼入院手術の場合:4泊5日(火曜日入院、土曜日退院) |
網膜硝子体手術および緑内障手術 | 日帰り 入院の場合:数日~1週間程度の入院 |
眼瞼手術 | 日帰り 入院の場合:2泊3日 |
涙道手術 | 日帰り 入院の場合:1泊2日 ※涙嚢鼻腔吻合術は3泊4日程度 |
白内障のお話
まず、白内障とは、眼の中にある”水晶体”と呼ばれるレンズが濁る病気で、霞みや眩しさを感じ、次第に視力の低下を自覚してきます。 白内障の原因としては、先天性や糖尿病、外傷など様々ありますが、最も多い原因は加齢によるものです。 60歳を越えると程度の差こそあれ、殆どの方に認められますので、眼科で白内障と診断されたからと言って、直ぐに手術などの心配をする必要はありません。 視機能に影響のない初期の白内障は、まず様子を見ますが、若いときのように元に戻ることは無いので、ある程度の進行が認められれば手術が必要となります。 一昔前の白内障手術は、麻酔の注射が痛かったり、手術時間が長かったり、また術後の絶対安静が辛いものとされていました。そのため、現在でも白内障手術への恐怖があり、生活に不自由を感じていても我慢をしている方が、時に見受けられています。 しかし、近年の白内障手術の技術や機械の進歩はとても目覚ましく、術式は大きく変化し、より安全に、より確実な、そしてより短時間に行える手術となってきました。 白内障手術に関する進歩を3つ挙げます。
- 進歩1
- 麻酔方法の進歩
より短時間で手術が行える現在、殆どが点眼麻酔のみで十分とされ、注射による苦痛はありません。 - 進歩2
- 機械の進歩
手術は、顕微鏡下で拡大して行うため、0.1mm単位の細かい操作が可能となり、さらに、白内障を砕きながら吸引する超音波白内障手術装置の進歩により、より安全により短時間で確実に行うことができるようになりました。 - 進歩3
- 眼内レンズの進歩
白内障摘出後は、水晶体というレンズの役割をするものが無くなってしまうため、眼内レンズと呼ばれる人工のレンズを眼内に挿入します。当院では、傷の大きさを出来るだけ小さくする目的で、折りたたむことができる眼内レンズを採用しています。これにより、眼内レンズを折りたたんだ状態で挿入でき、そのため、切開創は昔に比べ1/2〜1/3の大きさにすることが可能となりました。
これら3つの進歩により、手術後の安静も1時間程度と、殆ど不自由を強いることは無くなりました。 よって、手術の時期としては、本人が生活に不自由さを感じる時期が考えられ、完全に見えなくなるまで待つ必要はありません。
むしろ、進行して硬くなった白内障では、超音波白内障手術装置でも砕けない場合があり、かえって手術が難しくなってしまいますので、ある程度の硬さの白内障での手術をお勧めしています。
最後に白内障手術の利点と欠点を、簡単に挙げておきます。
利点
- 眼の中の濁りがなくなるので、術前よりも明るくなり見やすくなります。
- 強い近視や遠視がある場合には、弱くすることができるので、裸眼でも見やすくなったり、
眼鏡をかける場合でも、薄いレンズで済むようになります。 - 眼の中がよく見えるようになり、検査において眼の病気の早期発見が可能になります。
欠点
- 手術なので、100%絶対安全と言うことはありません。
- 老眼や乱視を、治すことはできません。
- 眼の中に他の病気がある場合は、必ずしも視力が改善するとは限りません。
緑内障のお話
緑内障とは、網膜と呼ばれる神経組織の障害をきたし、進行性に視野障害が起こる病気で、一般的に初期では無症状で、中期から後期にかけ視野欠損を自覚していきます。
緑内障の原因は明らかではありませんが、遺伝や環境、体質など様々な要因が複雑に関与している可能性があります。 現在、日本人の緑内障は40歳以上で20人に1人の割合で発症しているという報告がなされています。
緑内障発症後一度失った視野は戻らないため、自覚症状のある中期から後期の治療よりも、自覚のない初期の段階で発見し、進行予防することが理想とされています。
ただ、自分自身で自覚ができないため、自主的な定期的眼底検査(ドックや健康診断など)が必要となります。
治療としては現在のところ、網膜神経を復元することは不可能なため、点眼薬であろうが、レーザー治療であろうが、手術治療であろうが、緑内障の治療は全て眼圧(目の硬さ)を下げる治療でしかありません。 最近の点眼薬の進歩は目覚ましく、多種多様にありますのでその人に合った点眼治療で多くの方は進行を予防し治療可能になってきました。 しかし、一部には点眼治療においても十分に進行を予防できない場合があり、その場合はレーザーや手術治療の検討をしなければなりません。
当院では、水晶体再建術併用眼内ドレーン手術 (iStent inject w挿入術)、流出路再建術(トラベクロトミー)、濾過手術(トラベクレクトミー、Express®挿入術)を行っております。患者様の状態により、最適な治療をご提案いたします。必要時には大学病院などの緑内障専門医へ紹介させていただきます。
最後に、緑内障は網膜神経の病気のため一度失った視野は戻らないこと、自覚のない早期に発見し早期から進行予防することで不自由のない生活が送れることを改めて強調しておきます。
糖尿病網膜症のお話
糖尿病網膜症とは、糖尿病発症の後にゆっくりと(数年から10年以上)現れてくる目の合併症で、網膜の神経組織に出血や循環障害などを引き起こし、次第に視力を障害してくる病気です。
原因は、糖尿病です。 しかし、糖尿病というのは症状のでにくい病気で、さらに糖尿病網膜症においても同様に症状が自覚しづらいことが発見を遅らせています。
糖尿病網膜症は、網膜の神経組織を障害していくため、視力など回復が望めない場合もあり、自覚のない発症前や発症初期の段階で発見し、進行予防することが理想とされています。
ただ、自分自身で自覚はできないため、ドックや健康診断などによる糖尿病の発見や糖尿病と診断されたなら自主的な定期的な眼底検査が必要となります。
治療は基本的に死滅した神経細胞を再生させることができないため、網膜症の進行を抑えることを目的としています。 まず、糖尿病の治療である血糖コントロールが主となりますが、糖尿病網膜症の進行が抑えられない場合はレーザー治療、更には硝子体手術治療などが必要となる場合があります。
レーザー治療は外来で行え、施行後の制限は特にありませんので、手術と比較すると行いやすいですが、視野がある程度犠牲になっていること、痛みが出る場合があること、料金が高額ではあることをご了承の上で行います。
最後に、糖尿病網膜症は網膜神経に起こる病気のため、死んでしまった神経細胞は元には戻らないこと、自覚のない早期に発見し早期から進行を予防することで不自由のない生活が送れることを改めて強調しておきます。
加齢黄斑変性のお話
加齢黄斑変性とは、加齢により網膜の中心部である黄斑と言われる部位に年齢に伴う老廃物が蓄積し、直接あるいは間接的に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなるという近年日本でも増加している病気です。(失明原因の第4位)
直接的な原因は、明らかではありませんが年齢が関与しています。また、女性より男性に約3倍多くみられます。
自覚症状は、ゆがみ、視力低下、中心暗点、色覚異常などが挙げられます。
加齢黄斑変性には大きく分けると萎縮型と滲出型の2つの種類があります。
萎縮型
黄斑部網膜が徐々に萎縮していき、網膜機能が障害され視力が徐々に低下していく病型で、 残念ながら現在のところ治療法はありません。
滲出型
異常な血管(脈絡膜新生血管)が黄斑部網膜の下あるいは黄斑部網膜内に侵入し、網膜が腫れたり(網膜 浮腫)、網膜下に液体が溜まったり(網膜下液)、出血したりして視力低下をきたす病型で、いくつか治療法がありますが、現在の主な治療法は硝子体内注射による薬物治療となり、6割程度の確率で視力を維持あるいは改善させることができるようになりました。当院では、複数の抗VEGF硝子体内注射を採用し(アイリーア、ルセンティス、ラニビズマブBS、ベオビュ、バビースモ)、患者様の病態、社会背景に合わせて薬剤を選択しています。治療をご希望の患者様はぜひ一度ご相談ください。
現時点では、硝子体内注射をもってしても、やはり完全に治癒できる病態では無い為、予防がまず大切とされます。紫外線予防や禁煙、ビタミンC・ビタミンE・βカロチン・亜鉛などを含んだサプリメントや緑黄色野菜の摂取、肉より魚中心の食生活などを行うと良いとされています
医師紹介
常勤医
- 井上 友輔
- ■役職:医長
- ■出身大学:東京医科大学(平成24年卒)
- ■得意分野:眼科診療全般(白内障、網膜硝子体、涙道疾患、眼瞼疾患)
- ■所属学会:日本眼科学会
- ■指導医・専門医等:日本眼科学会認定・眼科専門医
- ■メッセージ:患者様のQOV(Quality of Vision)向上に努めます。
- 山下 舞伊子
- ■出身大学:山形大学(令和元年卒)
- ■得意分野:一般眼科
- ■所属学会:日本眼科学会
- ■メッセージ:患者様一人ひとりに寄り添った診療ができればと思っています。
非常勤
- 矢部 美香子
- ■出身大学:福井医科大学(平成11年卒)
- ■得意分野:眼科一般診療(白内障、緑内障、眼瞼疾患、糖尿病網膜症など)
- ■所属学会:日本眼科学会
- ■指導医・専門医等:日本眼科学会認定・眼科専門医
- ■メッセージ:眼のことで御相談あれば、御受診いただければと思います。安全な医療を心がけ、地域医療に貢献したいと思っております。
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